国際オリンピック委員会(IOC)理事会で次期冬季オリンピック「アルプス2030」における競技種目としてシンクロ9の追加が承認されました。
シンクロナイズドスケーティングがついにオリンピック種目になります。
まずは今わかる範囲でポイントをまとめました。
1 シンクロ9とは?
2 シンクロ9の競技方式
3 シンクロ9五輪採用に関する主な報道
4 公式発表
(筆者撮影)
⬛︎ シンクロ9とは?
シンクロ9は9人制の新しいシンクロナイズドスケーティング種目です(従来は基本的に16人制または12人制)。競技形式も得点で順位をつけるのではなく、1対1のバトル(トーナメント)形式で実施されます。プログラムの指針として、最大限の振り付けの自由を保つという目標と音楽と衣装はモダンで都会的、若々しいものであるべきという部分はかなり特徴的です。
とはいえ、シンクロ9の大会は今季から。誰もまだシンクロ9の試合をしたことも見たこともないわけで、実際の試合がどのように行われるのか今ひとつイメージできていません。2028年の冬季ユース五輪の種目に採用されることは決まっていましたが、このタイミングでの五輪種目採用は正直驚きでした。
<シンクロ9の演技>
シンクロ9の試合は実施されていませんが、世界フィギュアスケート選手権2026のエキシビションと、世界シンクロナイズドスケーティング選手権2026でのデモンストレーションという形で演技は披露されています。世界フィギュアのエキシではフィンランドのチーム(Helsinki Rockettes)、世界シンクロのデモンストレーションではフィンランド(Helsinki Rockettes)カナダ(Les Suprêmes)、アメリカ(Teams Elite)の3チームが演技を行いました。Skating ISUのYouTubeでライブ配信されましたが、残念ながら日本からはブロックがかけられていて見ることができません。ショート動画では少し見られます。
◇ From earning its place as a discipline in 1994... to Synchro9 hitting the Olympic stage in 2030.(Skating ISU 2026.7.7)
https://youtu.be/h1i8VnVU4dY?si=NtcEU89i5Ko2Vfeu
◇ Synchro9 Debuts at ISU World Championships 2026: New Era for Synchronized Skating(Skating ISU 2026.4.14)
https://youtu.be/c_IaLLQwIZQ?si=BXtJmIyYYqBkPIVu
<性別規定について>
シンクロ9を含むシンクロナイズドスケーティングに性別規定はないのですが(ただしシンクロ9は26/27および27/28シーズンは女子種目として実施)、オリンピックでは女子種目としての採用です。これについては、個人的にはシンプルに今後性別規定がなくなるよう願っています。多様なメンバーによるシンクロがシンクロナイズドスケーティングの魅力だと思うので。
こちらの資料でWOMEN'S EVENTSにカテゴライズされています。
<今季シンクロ9の国際大会>
26/27シーズンは、シンクロ9の国際大会が世界選手権以外に4大会開催される予定です。
11/7-8 開催地:アーバイン(アメリカ)
11/28-29 開催地:バンター(フィンランド)
1/29-30 開催地:ルーアン(フランス)※フレンチカップと同時開催
2/20-21 開催地:ブダペスト(ハンガリー)※ハンスケートカップと同時開催
シンクロ9世界選手権は世界シンクロナイズドスケーティング選手権(シニア12-16)、世界シンクロナイズドスケーティングジュニア選手権と合同で、イギリスのノッティンガムで開催される(3/27〜4/4)予定です。
<日本国内のシンクロ9チームは?>
2026年7月現在、日本国内でシンクロ9のチーム結成を告知しているのは3チームです。
◎ Team Emotion (横浜銀行アイスアリーナを拠点とするチーム:木内千彩子コーチ)
https://www.instagram.com/teamemotion_jpn/
◎ Team FARNA (MAO RINKを拠点とするチーム:柴田嶺コーチ 星野有衣子コーチ)
https://www.instagram.com/team_farna_official/
◎ New Synchro Team ※チーム名はまだ仮名のようです(東京を拠点とするチーム:内田絢子コーチ 内田靖子コーチ)
https://www.instagram.com/new_synchro_team/
オリンピック種目採用が決定したことですし、これからまだ増えるかもしれません。増えてほしい!
⬛︎ シンクロ9の競技方式
<チームの人数と出場チーム数>
1チームの人数は9人+控え1人で、参加チーム数は大会によって異なりますが、オリンピックは全9チームで争われるようです。
<競技スケジュールとプログラム規定>
予選→準決勝→決勝ラウンドと進んでいき(3位決定戦もあり)、合計2日間で実施されます。各ラウンドで演技時間やプログラムの規定があります。予選は音楽のテーマ(今季と来季はストリートダンス)、準決勝は音楽のBPM(拍数)が指定されており、プログラム内容については全ラウンドに適用される要件と、各ラウンドで必須のムーブメント、難しいフィーチャー、パターンの要件があります。つまり1チームにつき3プログラム用意しなければならず、また2日間で3プログラム(1日で2プログラム)の演技をするわけで、なかなか大変そうです…。
<採点システム>
採点システムは技術(Technique)50%、芸術(Artistry)50%で、技術は難易度(Difficulty)と同調性(Synchronization)、芸術は独創性(Originality)とパフォーマンス(Performance)で評価され、それぞれ1点刻みで1〜100点の点数がつけられます。100点はOutstanding、90〜99点はExcellent、そして0〜9点はExtremely poorといったように10点ごとに基準が示されています。ジャッジのトリム平均(最大値と最小値を除外した平均)を算出して、減点分は引かれ、得点が決定されるとのことです。
IJSで採点されるシンクロナイズドスケーティング競技とはかなり違い、直観的で、相対的(バトル形式なので)に判断されるのかなという印象です。従来のシンクロのムーブメントなどの技で演技が構成されるものの、それぞれ要素として採点されるのではなく、演技全体が採点されるため、複雑なルールを知らなくてもわかりやすく楽しめそうでもあります。下にリンクを貼ったジャッキーさんのYouTubeでは6.0システムのようだと言われていました。
以下はISUから出されている規則および今季と来季の演技規定です。
シンクロナイズドスケーティング規則(シンクロ9も含む)
ISU SPORTS RULES SYNCHRONIZED SKATING AS OF 1 JUNE 2026(Effective 12 June 2026)
26/27および27/28シーズン シンクロ9のウェルバランスプログラム
Well Balanced Program Content for Synchro9
Effective for the 2026/2027 and 2027/2028 season(ISU Communication No. 2784 2026.4.27)
⬛︎ シンクロ9五輪採用に関する主な報道
アルプス2030で除外される種目を見出しにした報道も多いですが、シンクロ9の採用については共同通信の記事が詳しいです(記事数も多い)。神宮IMの関口コーチのコメントも記事になっています。
◇ 2030年冬季オリンピックでフィギュアスケート新種目 IOC初採用の「シンクロ9」とは?(共同通信 2026.7.8)
◇ 「シンクロ9」、どんな競技? 同調性、陣形変化が見せ場 観客を引き込む魅力や迫力(共同通信 2026.7.8)
◇ 「とうとう、遂にこの時が来た」大きな節目 神宮アイスメッセンジャーズ・関口知代ヘッドコーチがコメント(共同通信 2026.7.8)
日本スケート連盟竹内強化部長のコメントは共同通信、中日スポーツ、サンスポの記事に載っています。
◇ 竹内洋輔フィギュア強化部長「競技力強化と普及・発展の両立に取り組む」 2030年冬季オリンピック『シンクロ9』採用受け(共同通信 2026.7.8)
◇ フィギュア新種目「シンクロ9」2030年冬季五輪での実施、日本スケート連盟「歴史的な一歩」「大変意義深い決定」(中日スポーツ 2026.7.8)
◇ 2030年冬季五輪で新種目「シンクロ9」初採用 日本スケート連盟「日本代表が活躍できる強化体制の構築を推進」/フィギュア(サンスポ 2026.7.8)www.sanspo.com
◇ シンクロ9、フリーライドとは 30年冬季五輪の新種目―IOC(時事通信 2026.7.8)
◇ 【フィギュア】「シンクロ9」が30年五輪で採用決定 ISU「長年の夢が実現」(東スポWEB 2026.7.8)
◇ 30年五輪フィギュアスケートで新種目シンクロ9 ジャンプは女子スーパー団体追加(日刊スポーツ 2026.7.8)
www.nikkansports.com◇ 【フィギュア】30年五輪で採用の「シンクロ9」って何? 氷上を群舞する9人制の団体種目(日刊スポーツ 2026.7.8)
◇ 2030年五輪で初実施 フィギュアの「シンクロ9」とは(毎日新聞 2026.7.9)
毎日新聞のポッドキャストでもとりあげられていました。
◇ ▽JOCスポーツ賞、フィギュア勢が多数受賞 ▽シンクロ9が五輪種目に(毎日新聞 週刊フィギュアスケート#56 2026.7.14)
若干ネガティブというか課題点に触れている記事もありました。
◇ 【フィギュア】五輪新種目「シンクロ9」に期待と不安 低い認知度、練習場確保もひと苦労(東スポWEB 2026.7.9)
JURA SYNCHRO(シンクロナイズドスケーティング専門メディア)の記事
◇ Historic breakthrough: Synchro9 Set for Olympic Winter Games debut at Alpes 2030(2026.7.7)
One Team MVMT(シンクロ振興団体)による記事 疑問点なども率直に書かれています
◇ Synchro9 is Heading to the Olympic Winter Games: What We Know So Far(2026.7.12)
ジャッキーさんのYouTubeではゲストのシンディ・キムさんがシンクロ9の基本を詳しく解説してくれています。シンディ・キムさんは元Haydenettesの選手で今はTeam Image Jr.(USA)のコーチ、韓国のシンクロチーム育成にも尽力されています。
◇ What is Synchro9? US Synchro champion Cindy Kim gives us her 101(The Rocker Skating Podcast Jackie Wong 2026.7.11)
https://youtu.be/IVcLz9PG48c?si=uFGX8Fd6MLfTAwJ-
シンディ・キムさんについての記事 https://skatingmagazine.usfigureskating.org/article/Skating_202003_24
⬛︎ 公式発表
最後にISUとIOCの公式発表をまとめておきます。
ISU ニュース
History Is Made: Synchro9 Earns Its Place At The Alpes 2030 Olympic Winter Games!(2026.7.7)
Synchro9 Is Heading to the Olympic Winter Games Alpes 2030!(2026.7.7)
IOC ニュース
Alpes 2030 to be first gender-equal Olympic Winter Games – freeride (ski and snowboard) and synchro9 (figure skating) athletes to debut(2026.7.7)
【アルプス2030】冬季オリンピックで初めて男女同数参加を実現 フリーライド、シンクロ9を初採用(2026.7.8)
フィギュアスケートのシンクロ9とは? アルプス2023で初採用の新種目(2026.7.8)
……………
まだまだわからないことが多いのですが、まずは悲願のオリンピック種目採用を喜びたいです。シンクロナイズドスケーティングという競技がどのようなものか知る機会ができ、日本でも競技人口が増えるといいなと思います。アジア全体でも普及して、アジアで国際大会が盛んに開催されるようになるといいですね。
また何かわかったことがあれば追記していきます。



